狂言師のお衣装の「紋」がすべて、「蒲公英」(たんぽぽ)であることをご存知でしょうか。
8月の終わり、京都で大蔵流中村忠三郎先生のワークショップに参加してきました。能とセットになっている狂言が、奥深いものであることを初めて知りました。 深淵で幽玄な能。コミカルでありながら、人間そのものを表現しようとする狂言。それらがどうしてコラボするのか、かつてはよく理解できなかったのですが、門外漢ながら、そのギャプが逆に人間の側面を表しているのではないかなとも思いました。
ワークショップでは、「運び」の練習に始まって、「寝音曲」という演目の謡の練習、台詞の練習、いやはや、なかなか頭に入りません。翌日は、狂言のお衣装やお面に触れさせていただき、最後の晩は京都駅の薪能で忠三郎先生が演じられる狂言を堪能しました。演目は「寝音曲」。
そんなご縁があって、過日、東京能楽堂で忠三郎狂言会に行き、忠三郎先生の迫力のある演技を目の前で観せていただきました。演目は「靱猿」忠三郎先生の5歳のご子息の初舞台です。お猿のお面を付けた子猿さんのかわいいこと。45分間もよく演じられたなと思いました。狂言師としてのご成長を思わず、願ってしまいました。それにしても、伝統芸能継承の難しさをここでも感じました。 伝統とは何なのか、継承すべきこととは何なのか。
ちなみに「蒲公英」の紋の意味は、踏まれても踏まれても力強く生きていくということなのだそうです。
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