紅葉を見に出かけようと思い立ち、前から行きたいと思っていた小石川植物園に行ってきました。小石川植物園の敷地は、かつて、白山御殿と呼ばれ、5代将軍綱吉の幼少のころの居邸でしたが、その一部が「小石川御薬園」となったのが始まりです。御薬園は御番医師の管理下にあり、後に施薬院(養生所)が設けられました。その養生所というイメージ(主に時代劇の小石川養生所)があったからでしょうか、ずいぶんと狭いものを想像していましたが、とにかく広かったです。しかも、散策路が網の目のようになっていて、とても一回では回りきれるものではありません。今回は外周だけを歩くことにしました。
帰宅後、昨年、月一回行っていた白金台の自然教育園の方が広いことを知り、少々驚きました。自然教育園では、散策できる範囲が限られているようです。その点、小石川植物園では、散策路がいたるところにあり、樹齢300年もの樹木や幹回りが592cmもある巨木にも直接触れることができるのです。巨木の幹に耳を寄せると、巨木の息づかいが聞こえてくるようです。巨樹巡りコースがあるようなので、次回巡ってみたいと思います。
個人的な印象ですが、小石川植物園には落葉樹が自然教育園より多いような気がしました。紅葉した木々はとても美しかったですし、散り敷かれた様々な色や形の葉を踏みしめながら歩くのも楽しかったです。風の強い日でしたが、のびのびと育った大きなスズカケノキの下のベンチで五感を開いて、ザワザワと葉や枝の擦れ合う音を聞き、照葉の間からからこぼれる日を浴びて、今年の秋を極めました。
いけばな的興味(?!)としては、春浅い頃に生ける山茱萸(サンシュユ)の葉と実を見られたこと、そして、ツバキ園があることに心躍りました。ツバキは、まだ、ほとんど開花していませんでしたが、名前を見たことも聞いたこともないツバキがいっぱいあり、どんな花を付けるのか、ぜひ見てみたいと思いました。ツバキの季節に再訪です。
植物園を出て、茗荷谷の駅に向かうために春日通りに出ましたが、広い道路の両側に背の高いビルが覆いかぶさるように立ち、日も入らないようなありさまでした。植物園での時間が夢のように思われ、植物の持つ力を改めて感じた日でもありました。


旧東京医学校本館(重要文化財) 小石川植物園は国の名勝および史跡にも指定されています。

山茱萸(サンシュユ)

照葉からの木漏れ日
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