三渓園には小学生の頃から遠足などで行って、馴染深い所でしたが、そのオーナーが、「財閥の茶湯」の茶人である「原三渓」であることとは、まるで結びついていませんでした。しかも、横浜にこのように縁の深い方だったとは…。
そのコレクションは多岐に渡っていますが、原三渓は絵を志している人々のパトロンでもあったので、支援した画家の作品が多くありました。その一つ、下村観山の「弱法師」には心惹かれました。「弱法師」の袖に散る梅の花びらの香に心を寄せる穏やかな姿を観ていますと、「このような境地」になってみたいものだと思いました。
そして、もう一つ。三渓は長男に先立たれるという不幸に見舞われるのですが、その供養の茶事で、三溪が取り合わせたお道具は、源実朝の筆による「日課観音」。なんの執着もない、すなおな一筆書きのような観音さま。そして、松平不昧公旧所蔵品の井戸茶碗。銘 君不知。心がふるえました。
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